第五章 憧れる強さ、本当の強さ

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「考えてみれば、本庄さんの件と二年へあがったことなど色々気が張ったままだったんだろう。気分転換をしたいのなら付き合う。何がしたい?」 先生は何故か面白そうな顔をして私を見ている。 やはり思ったより先生は私の心配をしてくれてるんだ、つい日頃のことで忘れがちになるけど。 だけどなんだろう、この流れ。最初は私がお礼に奢るはずだったのに。 そして蘇る閻魔ちゃんの言葉。 『縁があるのならそのように流れる。 もしそうなったら抵抗せずに受け入れてみると変わるものじゃよ 』 「御朱印巡り、したいです」 ふわん、と口から言葉が出ていた。それを自覚した自分が驚いて取り消そうとしたら、 「わかった。今度の日曜なら空いてるがお前は?」 「・・・・・・空いてます」 気が付くと看病のお礼ではなく私の息抜きの御朱印巡りが決定してしまい、私は何事も無かったように残りの天ぷらを食べている先生を、箸を持ったまま見てしまっていた。 あ、お礼は。 そうか、御朱印巡りしてランチすれば良いのか。 目一杯閻魔ちゃんと篁さんの言ったとおりになってることで、これも仏縁ってやつなのかな?と思いつつ、最後に残していた大好きなサツマイモのてんぷらを私は口にした。
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