第五章 憧れる強さ、本当の強さ

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Vネックの長袖カットソーに、細身のチノパン、スポーツシューズ。 髪の毛も仕事用のかっちり整髪料をつけた感じでは無いので、いつもより若く見えるしなんだこのモデルみたいな人間。 「待たせたか」 「大丈夫です」 見とれてました、外見に、そう、服と外見だけ。なんて絶対言いたくない。 私は今回はスカートなんかにしてみたけれど、歩くならジーンズとかで良かったかも知れない。 少しだけ可愛くしたいという欲望に勝てずいつもと違って女の子っぽくしたけれど、先生は特に興味も無いようで目線は既に歩く方向だ。悔しい。 「あっちだな」 「はい」 私が斜めがけのバックから小さい京都観光ガイドを引っ張り出し確認すると、先生が覗き込んできた。 「そんなもん買ったのか」 「だってわかんないんですもん。先生神社仏閣どこでもわかりますか?」 「知らんな。こういう観光地を巡る必要が無い。お前だって東京の観光スポット全部わかるか?」 「わかんないですね・・・・・・」 「こういうのはかえって現地の人間より観光客の方が詳しかったりするからな」 「確かに」
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