第五章 憧れる強さ、本当の強さ

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バスの通る今出川通から小道に左折し、ごく普通のお家が並ぶところを歩き、数分でお目当ての『大将軍八神社』にたどり着いた。 石の鳥居に隣の長細い石碑には神社の名が彫ってある。 「方位にまつわる厄災を守ってくれるそうですよ。ほら、本殿前にぴょこっと立ってるのが方位盤だそうで、確か陰陽道にも関係している場所だとか」 「陰陽師は天文学者でもあったからな。そもそも占星術は西洋のみと思っているだろうが、密教でも扱っていて日本でも歴史がある」 中に入りながら話す先生を見上げていると、何だ、という顔をされた。 「先生、ほんと詳しいですね」 「たまたまだ」 参拝は別に良いと前に行かない先生を放置し、私だけお参りする。 お賽銭を入れ、二礼二拍手。 まずは先生と一緒に来られたことについてお礼を言ってしまった。 でも楽しい一日になったら良いなと、素直に願っているから。 そして深く一礼した。
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