第五章 憧れる強さ、本当の強さ

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「歩けなくは無いが、大丈夫か?」 未だ体調を心配する先生にちょっと笑いそうになるのを堪えて笑顔を見せる。 「はい、大丈夫です!ネットで調べたときは寺町三条の矢田寺しかわかってなくて」 「確か『千本ゑんま堂』って言うらしい」 私は急いでガイドの本をぱらぱら探せば、先生が開いたページの地図を指さした。 「ここだな」 「では次はここに!・・・・・・もしかして、先生、この場所調べていてくれた、とか?」 「行くぞ」 伺うように見上げれば、こちらも見ず面倒そうな顔で歩き出した先生に、にやけた顔が気付かれないよう少しだけ後ろを歩く。 間違いない、先生は私がそういう場所を気になると思って調べてくれたんだ。 どうしてこう、何か気遣いをされるとむず痒いし恥ずかしいのか。 私はその理由をわかったうえで、意識しないように頑張ることにした。
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