第一章 嘘と方便

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人は死ぬ。いつかは、必ず。 死した後、死んだ者はどこへ行くのか。 死後の世界に行くと、まずは鬼が三匹待っている。 人間の生たる源は『精・魂・魄(ぱく)』の三つ。 精は元気の源、魂は精神活動の源、魄は肉体の源であり、死ぬとこれがバラバラになって三匹の鬼が一つずつを奪いとってしまう。 次に鬼達は亡者を『罪問間樹(ざいもんかんじゅ)』と呼ばれる木の前に連れて行きその間をくぐらせる。 生前に善行や功徳を積んだり信仰心の厚かった者は普通に通り抜けられるが、罪深い者が通ると瞬く間にその木の枝が伸び亡者を突き刺す。 不摂生で凄く太っているとそれだけで罪に問われて刺されそうな気がする。 次の関門は山登り。 死天山と呼ばれる険しい山道を越えるのだが、その時の服装が旅姿な為、葬式の際死者に草履などの死に装束となっているのはこのせいだ。残念ながら山ガールなどというお洒落は出来ない。そもそも絶対楽しくない。 山を下りると今度は大きな川。かの有名な三途の川はようやくここで登場する。
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