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ひとしきりの資料を読み上げて
前を見ると レポートの資料に頭を乗せて
彼女は すやすや眠っていた。
気持ちよさそうな そいつと
全く正反対な気持ちで
俺としては
先ほどから
ちらちらとこちらを見る図書館司書の視線が痛い。
「りこ 起きろ。」
ちょっとだけ 肩をつついた。
ブラウンのニットのふわふわ感と
サラリと頬にかかる
ストレートの髪の毛は全く無反応。
なんの変化も起こらない。
「りこ」
今度は少し低めに強く声をかけてみた
ちょっとだけ 伏せていた顔を
ずらしたのか
頭の位置と髪の毛が一瞬動く。
「りこ そろそろ移動しようぜ」
彼女の寝起きの悪さは
この数年来の付き合いで把握済みだ。
起こすための段階も順序良く
やっておかないと
ますます 起き上がることはない。
「りこ 飯食いに行こ。」
なんの返事もない。
「おま・・、マジで無防備すぎ」
しょうがなく
莉子が起きるのを待つしかない。
この関係も早10年?
お互いにカレシ カノジョがいたり
いなかったり
なんでか タイミングの合わないまま
俺らはずっとオトモダチだ。
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