1人が本棚に入れています
本棚に追加
P5
今日の塾の授業は一コマだった。
あとは全部自習に充てる。
学校より家より落ち着く場所が
ここになってたから
座る場所にも
それなりの定位置が決まっていた。
莉子は廊下側の前から2番目で
結構、風の通る寒い所だ。
俺は窓側の後ろで
なんだかんだと
ふと休憩で顔をあげると
カリカリと問題を解いている莉子の
背中を見ることが多かった。
授業までの1時間は自習だなっと
自転車置き場に
チャリを止めていた時、
教室が違う同学年の女子が
駆け寄ってきた。
「時川!」
「なに?」
満面の笑みを浮かべてる。
日頃、あんまり話はしないが
莉子を通じて何度か会話したことは
ある。
向こうから話しかけてくることは
あっても
俺から話しかけることはないけど。
「あのね!これ!」
その子が差し出してきたのは
真っ赤な箱の
たぶんあれだ。
間違いなく
このタイミングでもらうあれだった。
「時川に渡したかったんだ。」
にこにこはっきりと
きらきら陽キャのそいつが言った。
最初のコメントを投稿しよう!