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P9
あの
中3のバレンタインの帰りのことは
今でもなんとなく覚えてる。
ずっと莉子が不機嫌だった。
自習を終えて
教室移動をした時も
いつもなら
何だかんだと話しかけてくるのに
その日は
最後の最後まで
話しかけて来ることはなく
俺なんかしたか?
と
ちょっとばかり考えていた。
あげくは
同じグループの
たっちゃんには、話しかけるのに
俺とは
目を合わせなかった異常事態に
さすがの俺もムッとした。
どんなもんかな・・と
思ったから
しょーがないから
裏の手を使うことにした。
授業が終わり
身支度を終えて帰ろうとする莉子を
引き留める最終手段は
『ちょっとまってくださ-ああい♡』
俺と莉子が話すきっかけを作った
2次元アイドルの
しずくちゃんの
音声メッセージだった。
俺から待てと言うのも
なんかカッコ悪い。
かと言って
この穏やかでない空気が
次回に続くのもごめんだ。
迷わずスマホを触って
しずくちゃん音声を
莉子の背後から流したら
莉子の足が止まった。
「なんでそれ?」
ゆっくり振り返って
こっちに向けて
むすっとした顔で莉子が言った。
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