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ハッとして目を覚ます。
少しうとうとしていたようだ。
テレビをつけると、朝の情報番組が始まっている。
ちょうど6時前の今日の占いのコーナーだ。
1位2位と、順に12星座が発表されていく。
あれ? かに座は? 見逃したかな。
え……もしかして。
気にしてないようで、実はかなり気にしてしまう。
「ごめんなさい、今日の12位は、かに座のあなた」
あー、やっぱり、12位か。
ごめんなさいって、謝られても。
「思わぬところから飛んできた災難にびっくり。そこが運命の分かれ道かもしれません。よく周りを確認しましょう」
ええええ。
最下位だからって、いつもこんな大層なこと言われてたかな。
「そんなあなたを助けてくれるラッキーパーソンは『同じ家の鍵を持つ人』」
そんなあ。
がっかりする。
私以外に鍵を持ってる人なんているわけないじゃない、一人暮らしなのに。
ちょっと後ろ向きな気持ちになり、布団をかぶって寝てしまいたくなる。
やめよ、やめよと顔を上げる。
『そうだよ。ただの占いだし』
『うん、12位だったら、言動に気をつけてやり過ごしましょうってだけの話だよね』
私は「よし」と踏ん切りをつけて、立ち上がる。
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