【12】二十年に一度の災難

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久しぶりの甘い時を味わう。 「な、どこが好き?」 「む、むねの、」 「ん?」 「……胸の先」 「じゃぁそこを俺の舌に当てて、自分が気持ちよくなるように動いて」 そこまで道筋を作ってやって、俺は動かず口から舌だけ出して翔太のそれを待った。 普段だったらきっとやってくれないだろうけれど、我慢していたのは多分こいつも一緒で、今は自分の中の羞恥心と闘っているんじゃないかと思う。 いや絶対そうだ。 翔太は今、そういう顔をしている。 恥ずかしいけれど、気持ちよくなりたいって顔。 うろうろ迷うような仕草のあと、右のそれが俺の舌の湿っている場所に優しく触れた。 「ん、」 その瞬間、翔太の肩がぴくりと動いた。 俺は動かなかった。 もちろん舌も動かしていない。 ただじっと、翔太の行動を見つめた。 そこからゆっくり、ゆっくりと俺の肩に置いている腕を支えにして翔太の腰が動きはじめた。 「あ……んー、ん」 自分のそれが俺の舌で擦れると、甘い声が漏れてきた。躊躇っていた事でも一度始めてしまうとスイッチが入るのか、優しく触れていた部分の面積は増し、俺に押し付けるような動きも徐々に大きくなっていった。 「あ、なつ……さ」 「きもひぃ?」 「う、ん……でも」 「んー?」 「も、もっと……」 「もっほ、あに?」 舌を出したままだからうまく喋れない。 「どうされたいか、ちゃんと教えて?」 一度舌を離して問いかける。 「捺さ、が、いつもしてくれるみたいに、してほし……」 「んーどれのこと?」 どうしても言わせたい。 そろそろ泣くかなと、チラッと顔を覗いてみると、そこには涙じゃなくトロトロにとろけたえろい顔があった。 「おねがい……も、足りない、から」 その言葉で一気に頭に血が上る。 もう俺の方が我慢出来ない。 餓えた獣みたいに目の前の餌に飛びかかる。 「あ! ん、なつ……さ」 さっきまでは表面が擦れるだけの一定の刺激だけだった部分に噛みついて、今度は痛みを加えてやる。空いている方のもう一つの尖端にも指を当てるとそこはもう摘ままれる準備が整っていた。 俺はその期待に答えるように指を動かした。 「ん、あ……い、痛い」 いつもより力が入りすぎたか。 (たかぶ)る欲情を抑えるために、一度全ての行為をストップした。 「や、捺さ……キスして、いっぱい」 それなのに、こいつは俺を煽ってくる。 その要望に答えるため、甘く開かれた咥内に舌を思いっきり突っ込んだ。 「ん、ん、ん……」 俺の動きに合わせたような喘ぎ声が隙間から溢れて漏れ出てくる。それが翔太の欲するものを俺が今与えているのだと実感させてくれる。 なんかもう、色々が限界だ。 久しぶりの感覚だから、脳に響く性慾の信号がいつもより鋭い。マズイ、もう我慢がきかなそうだ。 「……捺さん。俺も、していい?」 それを感じとったのか、もともとそうしたかったのかは分からないが、翔太からそう言われて俺は(あらが)える訳がなかった。 「舐める?」 「ん」 俺の確認にすぐに答えが返ってきた。 自分でスエットを少し下げて、下着だけの状態にした。するとそこに翔太の顔が近づいていった。
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