【13】指輪のカタチ

4/10
前へ
/71ページ
次へ
結局「護身用に」と、ゴムまで一つもらってしまった。 護身用ってさ…… まぁ、ある意味で身を守ってるのかもしれないけど。 俺は最近知ったBLマンガというものにハマりつつある。 今までは空いた時間にスマホゲームをするくらいで特にこれといった趣味もなかったから結構新鮮で楽しい。色々な言葉や表現も覚えてきた。 必ずっていう二種類の人物が登場するって事や、俺様やリーマン、ツンデレ、ワンコ攻めとかっていうジャンルがたくさんある事。あとリバっていうのがあるのにも驚いた。 もちろんフィクションだって分かってるけれど、こんなに男同士の世界が広がっていたなんて驚きで、俺はそれがなんだか少し嬉しかった。 あと、男でも胸とか弄られるとやっぱり気持ちいいものだよねって、ちょっと安心もした。これはさすがに智くんにも聞けなかったから。 それと、捺さんがいつも俺に恥ずかしい事をいっぱい言ってくるやつが、"言葉攻め"だって事にも気がついた。そのせいで俺がいつも興奮しちゃうのも普通だって分かったし、そういう技法?があって、恋人達が仲を深めているのだと知った。 俺は本当に無知だった。 と言ってもまぁ、漫画(BL)での話なんだけど。 捺さんは前に俺が最後までしたいって言った時、簡単にはできないって言っていた。 マンガを読んでいるとすごくすんなり出来てるみたいに感じるんだけど、智くんが言ってたように現実は違うって事だよな。 本当は、少し恐い。 でも好きな人と身体のナカで繋がる感じって、どんなだろうって考える。キスよりもっとすごいのかな。痛くても、苦しくても、嬉しくなるものなのかな。 その先の答えを、俺はまだ知らない 今俺は、捺さんのマンションに向かっている。 今日は二人とも用事があったから、夜から会う予定になっていた。 「こんばんは! 捺さん!」 出迎えてくれた大好きな人に挨拶を。 「おう、遅かったな」 「すいません。友達の家が結構遠かったので」 「いや、いいけど。それより夕飯どうする?」 「んー俺まだあんまりお腹空いてなくて」 智くんとケーキ二個づつ食べちゃったから。 「じゃ後でいっか。俺もまだ呑んでるからさー」 「あれ、捺さんも今日出かけてたんじゃないんですか?」 「え、あぁ、まぁ。帰って来てから呑んでるんだよ」 「あんまり飲み過ぎないで下さいね」 「ちゃんとセーブしてるって」 だって、今日は。 今日から特訓しようって、約束なんだから。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

687人が本棚に入れています
本棚に追加