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それから、重い腰をどうにか上げ俺達はシャワーを浴びた。
結局ビールは一口しか飲んでなくて、たっぷり入ったままの缶がテーブルの上でポツンと淋しそうにしている。
灯りはベッドの足元を照らす、柔らかい照明だけ。俺は枕を抱えこみ、じっと待った。
「ちょっと冷たいぞ」
「はい、」
いつの間にローションなんて買っていたんだろうと思っていたら、俺の股のもっと下にそのひやっとした液体が当てられた。
それから捺さんの指が少しずつ入ってくる感覚がして、冷たさよりも異物感の方が強くなっていく。それになんか、ヌルヌルするのがちょっと気持ち悪い……かも。
「どう? 痛いか?」
「いえ、痛くないですけど」
痛くはないけど、なんかよく分からない。
っていうか、うーん。
なんだろこれ。微妙な感覚。
それからも指が出たり入ったりゆっくりと動かされたけど、俺の感覚は死んでしまったのか、特に何も感じなかった。
「捺さん、」
「ん?」
「指、増やしてみてください」
「だーめ、今日は一本って決めただろ?」
「でも、なんかイマイチなんですけど」
「だから最初なんてそんなもんだって」
「えー」
「でもちょっと拡がってきたぞ」
「そうなんですか? じゃぁもう入りますか?」
「んな訳あるか!」
ちぇ。
「今日は俺が何してもずっとここのナカの感覚に集中してろよ」
「え? はい」
この時の俺は適当にそう返事をしたけれど。その意味を理解するのはもう少し時間が経ってから……
俺のナカで指を動かしたままの捺さんのもう片方の腕が上に登ってきて、俺の胸の尖端を探しはじめた。その手が目的のものを見つけると、いつものように虐めて立たされ摘まむようにして内部にも刺激を送られると「ん……」と、思わず声が漏れてしまった。
「指舐めて」
その要求を受け入れるように口を開いた。
捺さんの太い指が二本。俺の咥内で舌を混ぜるみたいに動いていく。舌から伝わる指の質感が俺を昂らせて、さっきまで何も感じなかったナカがくすぐったいような気がしてきた。
「ふ、あ、なつさ……」
苦しくなってつい名前を呼んでしまう。
それでも行為は止まらない。
今俺が咥えていた指がまた胸の先を弄る。今度は濡れているからまるで捺さんの口で舐められているみたいだ。
なんか、いつもより気持ちいい、かも。
捺さんの両手の指が上と下でそれぞれ違う動きをしていて、たくさんの刺激が身体中を包み込んでいく。
俺はその甘く優しい痺れを、瞳をとじて味わった。
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