帰省中

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そこにあるはずの満天の星空が確認できないほど、夜の頂はカラメル色に焦がされていた。 橙の提灯があたりの木々に張り巡らされ、昼間のような騒々しさをかきたてている。屋台の呼び込みと共に、ベビーカステラの甘ったるい香りが鼻の奥をくすぐるような感覚さえ湧いてくる。 染み込むような懐かしさに、翔太(しょうた)は思わず目を細めた。
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