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1. prologue
単刀直入に言うと、我ながら自分のことは失敗作だと思ってる。
いつからそう思うようになったのか分からないけれど。
誰かを魅了するような何かが有る訳じゃない。
顔だって身体だって、声も性格も何もかも。
才能だって私は持っていないんだと思う。
いつだって『一人一人に才能がある』って言う奴は、絵が特別上手かったり、顔が可愛かったり。
何かを作り出す力を何かしら持っていた。
愛されていた。
世界の端で僅かな衣食住を精一杯頑張っている人たちよりは、自分は恵まれた環境に生まれたんだと思う。
別に凄く金に困っている訳じゃないし、当たり前のように衣食住をして、息を吸って吐く。
でもそれだけじゃ足りなかった。
満たされなかった。
私がもし性格の良い優等生ならば、
顔の整った絵の上手な人だったなら、
誰かの一番に愛されていたならば、
私の人生は少し違っていたのかもしれない。
生まれが違かったら、心から笑うことが出来ていたかもしれない。
『友達』という他人に興味を持てていたかもしれない。
私に感情があったかもしれない。
もう諦めた。
誰かが苦しんで他人がその苦しみを蹴り落として知らないふりして幸せになる残酷な世界に呆れてしまった。
これは醜い、残酷で穢れきった
私だけが幸せになれない世界のお話。
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