第10話(2) 第二王子との挨拶

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「この話は、ここでするような話ではない。また改めて、後日にな」 「…はい。申し訳ありません」 「今日は試合観戦を楽しもう」  怒られて肩を落とす私の頭を優しく撫でてお父様はニコリと笑った。私はお父様を見上げて頷く。 「……お嬢様」  再び前を行くお父様とお母様の後をついて行っていると、ソフィが内緒話をするように小声で話しかけてきた。 「ソフィ、どうしたの?」 「………」  ソフィを見れば難しそうな顔をしていた。彼女にしては珍しい表情で、見ていると少し不安になってしまう。 「お嬢様……セドリック殿下にはお気をつけくださいませ」 「え?」  目を丸くしてソフィを見る。ソフィは相変わらず難しそうな顔をするだけで、それ以上この件について口を開くことはなかった。
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