第11話(1) 女(男)神が微笑むのは…

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「お店で会ったぶりだね」 「は、はい…! その節は、その…有難う御座いました」  見つかったとばかりに肩をビクリと跳ねさせるレオンに構わず、シモン先輩は笑顔を向けていた。 「そんなに畏まらないで。レオン、君がこの大会に参加を決めるとはね。周りの反応は、レオンにとって痛いものばかりだったのではないかい?」  レオンは困ったように笑うだけで、何も答えなかった。  シモン先輩の言う通り、レオンがこの大会に参加意思を示した時、周りの生徒からは批判の嵐だった。誇り高い剣技大会に平民が泥を塗るつもりなのか、と。けれどレオンは、何と言われようと参加意思を取り消すことはなかった。 「君にも期待しているよ。私だけでなく、君のディアナ姫もきっと…」  ふふ、と笑うシモン先輩の発言に、レオンの顔が遠目でも分かるほどに真っ赤になる。 「『ディアナ姫』?」  ちょうどこちらに戻ってきたエリックに尋ねてみる。エリックは少し不機嫌そうな表情で、何も答えてはくれなかった。
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