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高鳴る胸が苦しい。レオンの首にまわす自身の腕が震えた。
「…はい」
「………シャロン、様」
とびっきりの甘さを滲ませた瞳を細めて、大切そうに私の名を呼ぶ。私は胸から広がり身体が熱くなるのを感じていると、レオンが「…やっと呼べた」と、幸せそうに微笑んだ。
「レオン……良かったら…」
私は今、大胆なことを考えている。
「私を、シェリーと…呼んで欲しいの」
愛称とは、恋人しか呼ばない。自分から愛称で呼んで欲しいだなんて、それはもう…。
「…いいのですか?」
「はい…!」
好きだと伝えているようなもの。
「……シェリー」
「…!」
大変だ。顔が熱い。何故だか泣きそうになる。
レオンの視線が私の胸元にある金のブローチに向く。私は照れる気持ちを抑えて「レオンの瞳と同じ色でしょう?」と言った。レオンは少し目を見開くと、すぐに微笑んだ。
黄金の瞳が揺れている。
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