第12話(3) お嬢様の結論

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第12話(3) お嬢様の結論

「…すみません。失礼します」 「え?」  スッと立ち上がったレオンを見れば、彼の表情は暗い。あの輝かしい黄金の瞳は心なしかくすんでいるようにさえ思った。  レオンは素早くこちらに背を向けると、足早に立ち去っていった。急にどうしたの? 「レオン?」  去っていく背中に声を掛けるが、彼が足を止めることはなかった。一体急いでどこへ? もしかして、抜けられないのに無理をしてここまで会いに来てくれてたのかしら?  ふふ、レオンったら。私に会いたかったのね。  そんな事を考えていると、窓にニヤける自身の顔が映っていることに気が付いた。 「な、なに、このだらしない顔…!」  私は顔を赤らめて熱い頬を隠すように両手で抑える。浮かれてる。私、すごく浮かれてるわ。これから、レオンと過ごす日々が始まるのね…。 「それにしても…彼、平民だったのね…」  レオンの告白を聞いて、驚いた。そして、どうしよう? と、悩んだ。  だって、お父様は平民との結婚をお許し下さるかしら? もし反対されたら…レオンと一緒にいられないなんて…そんなの…。  想像しただけで胸が張り裂けそう。だから、もしそのような日が来てしまったら…。 「私が平民になればいいんだわ!」  うん、それしかない!
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