第12話(4) 改変された未来

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第12話(4) 改変された未来

 落ち着きを取り戻してきたソフィの背をさすりながら、観戦席に戻るとお兄様が待っていたとばかりに声をかけてきた。 「レオンとは会えたのかな?」  ぽっと顔が赤くなる私を見て、「それはなにより」と揶揄うように笑うお兄様。 「『レオン』とは、優勝した青年のことかい?」  お父様がレオンに興味を持っている。私はすかさず、レオンを売り込むことにした。 「ええ、そうです! レオンとは知った仲でして…学園では何度か助けて頂いた事があるのですよ!」  マシャーク伯爵令嬢に絡まれた時や、階段を踏み外した時に。実質2回だが、『何度か』と多めに聞こえるように誤魔化しておこう。 「そうなのか。彼の魔力操作力、量、そして輝る剣技センス…平民なのが惜しいくらいの人材だ」 「レオンは将来、国民を守る誇り高き騎士になる優秀な人材です! むしろ、平民であることでより多くの国民に寄り添い親しまれ頼りにされる、そんな素晴らしい騎士になるはずですわ!」 「そ、そうか…」  私の勢いにお父様は少し驚いているよう。  いけない、いけない。怪しまれないように少し落ち着かなくては。  隣に「シャロン、必死だねぇ」「お嬢様…なんて健気な…お可愛らしい…」と呑気に笑うお兄様と、恍惚な表情で私を見つめるソフィがいるが気にしない。 「シャロンがそこまで彼を評価しているのなら、とても優秀な青年なのだろうね」  ドキドキしながらお父様の反応を伺っていると、お父様は晴れやかな笑顔でニコリと笑って言った。 「…!」  私も嬉しくて笑顔になる。  やった! お父様にレオンを売り込めたみたい! レオン、私は見事、貴方の事をお父様に知って貰えたわ! この調子で、認めて貰えるように少しずつアピールしていくからね!
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