第12話(4) 改変された未来

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 剣技大会も終わり、私たちもそれぞれの帰る場所へ戻ることにする。お父様とお母様はお屋敷へ。お兄様と私とソフィは学芸都市へ。  別れの挨拶を交わし、互いの馬車へと乗り込む。お兄様も同じ学芸都市に戻るのだから同じ馬車で帰るとばかり思っていたら、お兄様は野暮用があるのだと結局ここで別れることになった。 「シャロン、レオンに会ったら伝えて。私から、優勝したプレゼントを用意しておくよって」 「伝えておくわ。…プレゼントって?」  気になって尋ねると、お兄様は片目を閉じ人差し指を口元に当てながらニコリと笑う。 「内緒」 「もう、お兄様の意地悪」 「ふふ、そんなにむくれないで。楽しみはとっておこうよ」  結局、プレゼントとは何なのか最後まで教えてくれなかったお兄様と別れ、私とソフィは馬車に乗り込み学芸都市へ向かった。 「お嬢様…レオン様のことでお話があるのですが…」 「え、レオンのこと?」  馬車が動き始めてさっそく、ソフィが切り出した。 「はい。そしてこのお話は私の前世の記憶についても関係があります」  ソフィの真剣な表情。そして、久しぶりに聞く前世の世界の話に、思わずゴクリと喉を鳴らす。
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