第12話(4) 改変された未来

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 この世界には人と動物、そして魔物が共存している。『モンスターテンペスト』はその中の魔物が大量発生する現象だ。  百年単位のある一定の間隔で魔力の素になる魔素の濃度が高まり多くの魔物を生み出すのだ。魔物は動物を喰らい、人をも喰らう。  大昔から遡れば、過去に『モンスターテンペスト』の被害を受けて、地図からなくなった国はいくつもあるのだ。故に『神の怒り』。幼い頃に読み聞かせてもらった絵本にも『モンスターテンペスト』は度々出てくるほど、災いの象徴とされている。 「レオン様は国を…少女を守るためにモンスターテンペストの発生源である死地へと向かう決意をします」 「なんてことなの! そんなの、レオンが、レオンが…!」 「落ち着いてください、お嬢様。大丈夫です。レオン様は無事に帰還されます。レオン様が死地に赴いたことを知った少女は他の攻略対象者たちと共に追いかけます。そして皆でモンスターテンペストへ立ち向かい、特別な癒しの力を持つ少女を筆頭に見事、モンスターテンペストを鎮めるのです。晴れて想いの通じ合った少女とレオン様は結ばれ、聖女を守る英雄騎士として末長く幸せに暮らすというハッピーエンドでございます……って、お嬢様!?」  私は思わず涙を拭っていた。  良かった…良かった! レオンが無事で! なんて勇敢な人なのだろう。なんて健気な人なのだろう。私はますますレオンを好きになった。 「あぁ! そんな風に目を擦られると赤くなってしまいます…! ちなみに、本日お会いなされたセドリック第二王子も二作目の攻略対象者でございます」 「へ?」  私はハンカチーフから顔をあげる。 「セドリック殿下も中々に人気のあるキャラクターでした。しかし、あのキャラ設定が現実となると少し…いや、かなり厄介でして…」 「ソフィ?」 「セドリック殿下は、いわゆる『ヤンデレキャラ』なのです」  また分からない単語が出てきたわね…。私は首を傾げた。
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