第12話(4) 改変された未来

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「つまり、病的に執着し独占欲が人一倍強いため、捻じ曲がった愛情でしか相手を愛せない。好意が強すぎるあまり、精神的に病んでしまう…そんなキャラクターなのです」 「……おそろしいわね」 「はい、かなり…」  まだ幼いあの少年が、そのような歪んだ性格の青年に成長するなんて…なにか理由があるのかしら? もし今後セドリック殿下と接する機会があれば、注意して観察しておこう。 「…本当は今日、エリック様が優勝なされるはずでした。レオン様が剣技大会に出るのは3年生の最後の年だけ、そしてセドリック殿下が公に姿を現すのは殿下が学園に入学してから…今から8年後の未来です。お嬢様、どうやら私の知っているストーリーとこれからの未来は違うようです。未来が改変されています」  なるほど…何故だか分からないけれど、現に愛を知らなかったはずのレオンは私を愛してくれているし、表舞台にまだ登場しなかったはずのセドリック殿下が今回、貴族の関心も高い剣技大会に陛下の隣に付き添って現れたのだ。  『おとめげーむ』のストーリーと決定的な違いが出てきたと言うわけね。だからソフィは、こんなに不安げに…。 「…………ところでソフィ」 「どうなさいましたか?」 「その二作目の少女とは一体誰なのかしら?」 「え?」 「早めにレオンの事で話をつけておくべきだと思うの!」  レオンの恋人として! と意気込む私を見て、ソフィは小さくうーんと唸って、何やら考えている。 「…おそらく今は領地ですくすくと育っているかと。そして少女は…二作目のヒロインは現在5歳ですね」 「ご!? ご、さい…」  どうやら、レオンをめぐるキャットファイトのゴングが鳴らされることはないようである。
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