第13話(1) ロマンス小説の法則

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 それにしても、すれ違う理由…全く身に覚えがない。  でももしあるのならば、早く解消しておかないと。あと一週間もしないうちに長期休暇に入ってしまうのだから。  悩む私をソフィはじっと見つめ、そして静かに口を開く。 「…お嬢様のお気持ちは、レオン様にお伝えしたのですか?」 「え? …私の気持ち…?」  コクリと頷くソフィ。何も答えずにキョトンと呆けた顔で彼女を見つめ返すと、ソフィの表情が段々と強張り「まさか…」と書いてある顔で蒼白した。ついでにエリック様も「失念していたか…」と小さく呟き眉間を軽くつまんでいた。 「仮に私でしたら……の話ですけれど、想いを告げた相手から何も返事が貰えないのは少々…いえ、かなりつらいものがあります」 「仮に俺だったら……の話だが、騎士の礼をもって想いを告げるが何も返して貰えないのは…騎士としての誇りが傷つくな」  二人の似た意見に私は目を丸くする。
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