第13話(1) ロマンス小説の法則

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「な、なぜ…だってロマンス小説では騎士が姫に愛を告げると……そう、次の(ページ)ではそのまま2人は結ばれ結婚式を挙げているのよ?」  私の発言に、友人2人の表情が強張った。 「よう、エリック、シャロン嬢、それにソフィ。何の話をしているんだ?」  まるで凍りついたように固まる雰囲気の私たちの間に現れた何も知らないルーカス様が、ニコニコと暢気な声で挨拶をしてきた。 「…お嬢様」  ソフィの僅かに震える声。誰もルーカス様がいらっしゃった事に気が付いていないのか、ソフィもエリック様も挨拶を返すことなくただ私を心配そうに見つめてくるのだ。 「現実に目をお向けくださいませ、と…申し上げたではありませんか…」 「そ、ソフィ…?」 「物語と違って現実は、愛を告げられたらこちらからも誠意を持って返さなければ…結ばれることなどありません!」  私はハッと気付いて息を呑む。ルーカス様も事態を把握されたのか、笑顔だった表情を強張らせて口を噤むんでいた。
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