第13話(1) ロマンス小説の法則

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「…なんてことなの…」  血の気が一気に引き冷たくなっていく頬を両手で抑え、私は狼狽えた。ソフィやエリック様の話を要約すると、私は不誠実な行いをレオンにしたことになる! 「い、今すぐレオンに想いを伝えなければ…」 「…そうだな、シャロン。俺も協力しよう」 「…うん。俺も力になれることがあれば、遠慮なく言ってくれ、シャロン嬢」 「私はもちろん! 全力でお手伝い致しますよ、お嬢様!」  私は感激した。みんな、なんて優しいのだろう。 「…皆さん! 本当に有難う御座います…!」  感動で涙が出てきそうになる私の肩に、ふいに後ろからポン、と手を置かれた感触。 「シャロン!」  聞き覚えのある声に思わず振り返ってしまった私の目に映ったのは、それはそれは美しい…輝く笑顔を浮かべたイーサン殿下だったのだ。  姫と騎士が結ばれようとしている時に限って、邪魔者は登場するもの。お気に入りのロマンス小説にもあった展開だわ…。
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