第13話(2) 勘違い

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第13話(2) 勘違い

「……イーサン殿下。いま、なんと仰いましたか?」  私は自分の耳が信じられなかった。気付かないうちに、私の聴覚はおかしくなってしまっていたのかしら?  だが、私だけでなく隣でイーサン殿下の話を聞いていたソフィたちも…その上、周りを行き通っていた生徒たちまでもが足を止めて困惑した表情を浮かべている。 「うん? だから、私たちの婚約を結び直そう!」  そう素敵な笑顔で仰るイーサン殿下を、私は信じられないものを見るかのような表情で見つめた。 「…イーサン。横から口を出して悪いが…」 「あぁ、その通り。横から口を出すな。この国の王太子の話を遮るやつがいるか? そのままその態度を貫くのなら…エリックはどうやら処罰されたいと見える」  エリック様が私とイーサン殿下の間に入ろうとしてくれたが、とても冷たい視線を向けてエリック様を制したイーサン殿下。エリック様は戸惑った表情で口を噤む。  …イーサン殿下があのような物言いをエリック様に投げかけられるなんて…。私だけでなく、当の本人であるエリック様も驚いている様子だった。
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