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「……そうか。これは『駆け引き』というやつだったのだな」
また訳の分からないことを呟く殿下に、今度は何? と思いながら目を向ける。
「シャロン、君という女は……私を忘れられないのなら、素直に言えばいいものを!」
「はい?」
表情は一転して、満面の笑顔を浮かべる殿下はソフィから私の身体を奪うように引き離すと、私の腰に手を回しぐっと殿下の元へと引き寄せる。
「ひ!?」
突然の行動に対応できない。殿下が何を思って何を考え行動するのか全く分からない。だから、このような事態が予測できない。
「私の金の髪と同じ色だ! シャロン、君の気持ちは分かったよ。私に気付いて欲しかったんだね」
甘くとろけるような瞳で見つめられながら、お門違いも甚だしい発言をする殿下の腕から逃れたい一心で殿下の胸元を必死に押す。
「ち、ちがいます!」
「あはは、照れなくていいんだよ。そうだ、ここでキスをしよう。私たちの愛を周りの皆に見せつけてやろうじゃないか」
そう言って、私の顎に手を添える殿下。ぞわぞわと全身が粟立つのを感じる。
話が通じないってこわい! きっと私と殿下は違う世界の住人なのだわ…だから話が通じない。もしかしたら、殿下はこことは違う星の生まれなのかもしれない…なんて現実逃避をしている場合ではないわ。
「はなしてください!」
やだ、やだ。助けて…レオン!
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