第13話(2) 勘違い

6/6
前へ
/320ページ
次へ
「そうか、レオンが……とにかく、ハリスが来てくれて助かった」 「ハリス様、私からも…本当に有難う御座いました」  私はハリス様に深く頭を下げる。すると彼は慌てたように「頭をあげて」と、言った。 「僕に出来ることは少ないかもしれないけれど、出来る限りのことはするから。僕でよければ頼って」  ハリス様は笑顔でそう言ってくれた。嬉しかった。私は素直に頷いて、本心から笑顔を返す。 「…僕もイーサンと同じで貴女の本質に目を向けていなかったみたいだ。シャロン嬢は、笑顔がよく似合うね」  そう言って眩しそうに、そして悲しそうに目を細め笑うハリス様。 「…さて、この騒ぎを収拾させないと。エリック、手伝ってくれる?」 「もちろん」 「ルーカス君も」 「え、俺も?」 「剣技大会3位の力を貸してもらおうかな」 「……はあ。まあ、俺でよければ協力するよ」  渋々といった様子で承諾するルーカス様にクスクスと笑っていたハリス様は、次に私に目を向けて「シャロン嬢はゆっくり休んでね」とおっしゃったので、お言葉に甘えてその場は彼らに任せ私とソフィは退散した。
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加