第13話(4) イーサン・デイル・サンロード

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「…私が殿下の元へ戻ることはありません」  私はレオンに守られながら、ハッキリと言った。そんな私に殿下は笑顔のまま告げる。 「戻ってくるさ。君を力ずくで奪えばいい」 「そうさせない為に、俺がいます」  レオンは殿下から隠すように私を抱き締めて、ぶわりと魔力を放出させる。あの日みた、黄金色の魔力…。 「…なるほど、色持ちか。平民なのが惜しいな」  怯む様子もなく、殿下はレオンを鼻で笑い見下すような仕草でレオンを見る。 「平民に一体何ができる? なんの力がある? シャロンのひと時の遊び心に巻き込まれているとも知らずに君はシャロンを想っていると見える…タラン、君はなんて可哀想なんだ」  腹立たしい、腹立たしい! ひと時の遊び心ですって!? 「平民と公爵令嬢が結ばれることなど無い。君の甘い夢を私が終わらせてあげようか?」 「殿下! 私とレオンは決して…!」 「もう、」  反論しようとした私を制して、レオンが言葉を紡ぐ。 「黙ってくださいませんか。王太子様」  ヒヤリとする声に彼を見上げれば、絶対零度の冷たい眼差しを殿下に向けている無表情なレオン。 「夢は…自身の意思で見るもの。終わらせるのもまた、自身のみです」
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