第13話(4) イーサン・デイル・サンロード

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 レオンの語る言葉を聞き、殿下は心底可笑しそうに表情を崩して「それもそうだな」と笑っている。  私はレオンの言葉に泣きそうになった。  夢を見て終わらせるのもまた自分…。レオンはいずれ、私との未来は途絶えるのだと…そう、思っているのね?  私の不誠実な行いが…貴方を傷付けてしまったのね…?  私の悲しみなどお構いなしに、彼らは互いの魔力をぶつけ合った。レオンの猛々しい黄金の魔力と、殿下の神々しい神聖な青い魔力。  苦しい。息苦しい。レオンの腕の中にいるはずなのに、なぜこんなにも彼との距離を感じるの。 「そこまでです!」  その時、聞き慣れない声が飛び込んできた。それと同時に、レオン達の身柄が何者かによって拘束される。  突然のことで驚いたが、レオンを取り押さえるのはエリック様だった。取り押さえると言っても、レオンの肩に手を置くだけだけれど…。  殿下に目を向けると、殿下を取り押さえるのは、騎士の頂点に君臨する騎士団長のエデルナンド侯爵閣下。こちらは殿下の両腕を後ろに回して拘束しているみたい。 「お二人とも、魔力を鎮めなさい」  そして堂々と命を下すその人に目を向ければ、そこには陛下の腹心であるヴァネッサン伯爵閣下その人であった。ハリス様の姿も彼のお父上の近くにあった。 なぜ、王宮にいるはずの御二方がこの学園に…? …いや、なんの用があってこの学園に? 「…イーサン、この度のこと残念に思うぞ」  そして遂には陛下が姿を現したことで、私の思考は混乱で正常に働かなくなった。
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