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第13.5話(2) 主人公
私は数ヶ月に渡る缶詰状態のこの現状に、慣れてしまっていた。
始めの頃は、ふつふつと怒りが込み上がってきて癇癪を起こしていたけれど、慣れてしまえばなんてことなかった。
前向きに考えれば五月蝿い継母に叱られずにすむし、お馬鹿なマシャーク伯爵令嬢たちの相手なんてしなくてすむし、それに大好きな私のママが心配してこっそり会いに来てくれるの! とっても嬉しかったわ!
学園の教師が定期的に持ってくる課題と教材を広げたまま、私は窓の外を眺めていた。
「はぁーあ、いい天気だなぁ」
つまらなそうな表情で口を尖らせ頬杖をつく美少女が窓に反射して映っている。
はあ、今日も可愛い。世界で一番に可愛い。だってこの世界の主人公は私なのだから、当たり前だよね。
でも、この可愛さを全然発揮出来ていない現状に、腹は立っている。数日前に開催された『エリックイベント』の剣技大会、あれを逃すとエリックの好感度マックスは狙えなかったんだよね、確か…。
なぜに私はこんなところで監禁されてるのって話! 部屋を抜け出そうにも、なぜか怖あーい顔のむさ苦しい騎士が毎時見張っているし。
この間なんて、あまりの仏頂面に楽しいことが無いのかな? と思って、私の可愛さで目の保養をさせてあげようと微笑んだらすっごく睨まれてさ! ひどくない?
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