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「ラザークくん?」
キョトンとした顔で首を傾げれば、ラザークはハッとした様子で部屋に入ってきた。
なんて暗くてどんよりした雰囲気なの…。彼の放つ負のオーラにうんざりしていると、ラザークは静かに口を開いた。
「…今日、イーサンの王太子の身分廃嫡が決議されたんだ」
「…え?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった私は目を丸くする。
「……イーサンが、イーサンが…」
ラザークはその場に崩れ落ちて涙を流す。
私はそんな彼を見つめて…。
「…ふぅーん?」
心底どうでもいいと思った。
「………」
今度はラザークが目を丸くする番みたい。
涙に濡れた瞳で私を見上げられても、私には関係ない話だし。…あ、やだ。指がささくれてるなぁ。
「…………貴女は、」
自分の指を見つめながら顔を顰めていると、ラザークは静かに何かを呟いてきた。
「…なんとも思わないのか?」
はい? ボソボソとよく聞こえないよ?
「え? あぁ、うん? なんか、大変そうだね〜?」
私が困ったように明るく笑ってみせると、ラザークの表情が抜け落ちたかのような無表情になる。
うわ、こわい! え、なに?
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