第13.5話(2) 主人公

4/5
前へ
/320ページ
次へ
「貴女の恋人のイーサンが、苦しんでいるのに…なぜ笑っていられる?」 「…いや、私…別にイーサンくんの恋人ではないけど」  何を言ってるの? 確かにあの日、キスした雰囲気でイーサンのあまりの美貌に勢い余ったけれど。ちょっと味見したいだなんて、欲をかいたなと反省はしてまーす。  でも、未遂だし、セーフでしょ? セーフ! 「……はあ!?」  急に怒りを露わにするラザークに、少しビビる。 「貴女のせいでイーサンは大変な目に合っているんだぞ!」 「…いや、私だってこんなところにいつまでも監禁されててかなり可哀想なんですけど…」  いや、なぜ逆ギレされてんの私。ムカムカ。なんか無性に腹立つんですけど! 「イーサンくんが勝手にキスしてきたせいで、私だってずっとこの部屋に閉じ込められてるんだよ!? むしろ私は被害者! 謝罪して欲しいくらいだよ!」  ていうか、王太子じゃないイーサンって何の価値があるの? ただの美男子だよね。私の好きな人の足元にも及ばないっていう話…。 「イーサンくんの事は私には何の関係もないんだから! 私に八つ当たりしないで!」  私がそう言うと、ラザークは口を閉じて静かに部屋を出て行った。  出て行くときに私を睨んでいったけれど、なにあの態度。『攻略対象キャラ』の中で一番不人気のキャラのくせに生意気!
/320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加