第14話(1) お嬢様と王太子

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「…イーサン、色々あったけど、結局俺はお前のことを信じている。風邪なんて引かないように、元気でな」 「もう僕たちはいないんだから、よく考えて行動してね。イーサンは短絡的なところがあるから心配だな…。今まで楽しかったよ」  エデルナンド侯爵から近衛騎士団に身柄を引き渡されている殿下にエリック様とハリス様が声をかける。  殿下は顰めた顔に碧眼を揺らすだけで、何も答えることは無かった。  最後まで事の次第を見守っていた陛下が口を挟むことは無かった。きっと、彼らに花を持たせてくれたのだろう。 「シャロン、私は一旦陛下と王宮へ戻る。怖い思いをさせたな。屋敷に帰ってきた時にでもゆっくりと話そう」  イーサン殿下がこの場から退場すると、お父様がそう声をかけてきた。私が素直に頷くと、お父様は優しい笑顔で私の頭を撫でた。そして、レオンに「娘を守ってくれてありがとう」と声をかけ、陛下の元へと行ってしまった。
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