第14話(1) お嬢様と王太子

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「…シャロン、大丈夫か?」  お父様と入れ違いにエリック様が声をかけてきた。ハリス様も同様に、その表情はとても心配そうにしていて、なんだかくすぐったく感じる。 「はい、ご心配をおかけしました。レオンが助けに来てくれたので……あ!」  咄嗟に私から離れるレオン。その無表情からは、彼の心情を読み取ることは出来ないが、レオンからの拒絶を感じとても傷付いてしまい、悲しみを訴えるようにレオンを見上げた。 「…レオン、お前なぁ…」  そんな様子の私たちをみて、エリック様はうんざりとした表情を浮かべている。隣ではハリス様も困ったように笑っていた。 「今朝俺と話しただろう? シャロンと向き合えと!」 「………」  エリック様に叱られている様子のレオンはムスッとした表情で何も返さない。 「何のお話をしたのかしら…」 「どうやら二人っきりの朝稽古でエリックとレオン君は本音を語り合ったようだよ」  私の呟くような疑問に、ハリス様が耳打ちで教えてくれた。 「お前がそんな態度を取るなら俺にも考えがある。お前が一番恐れていることで灸を据えてやろう! シャロン、話があるんだが」 「話、ですか…?」  突然に話を振られて、目をぱちくりとさせる。 「せ、先輩!?」  エリック様に連れられる私の後ろで、慌てた様子のレオンをニコリと綺麗な笑顔を浮かべたハリス様が「君が意地を張るからだよ」と足止めしていた。
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