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第2話(2) 嵐の前のとある午後2
「お待ちしておりました。このようにお呼びたてして申し訳ございません。どうぞ、おかけになってくださいませ」
スクールタウンの並びにある『夜顔喫茶』と書かれた看板の喫茶店に入ると、『ディアナ姫』もといシャロン嬢がわざわざ出迎えてくれた。
シャロン嬢の手のひらが指し示した先には、笑顔でヒラヒラと手を振るシモン先輩と、令嬢達が喜びそうな可愛らしい茶菓子がセットされたテーブル。その側にはお茶の準備をしている噂の専属メイドがいた。
…なぜ噂なのかと言うと、なんでも御令嬢の間では『万能すぎるメイド』と噂されている人気のメイドらしい。
促されるままに席に向かう俺たち。
その際に、専属メイドとすれ違うときに興味もあり何となく視線を向けた。
女性にしては背が高いけれど、艶のある栗色の髪に、派手ではないけれど上品さを感じさせる顔立ち。そして色白で長く白魚のような細い腕、少しつった黒い瞳はなんだか猫を連想させた。
ふぅん、なかなかの美人だな。
そんな事を思いながら席に着いて顔をあげると、向かい合うように座っていたシモン先輩とばっちり目が合った。俺は驚いてビクリと肩を揺らすと、シモン先輩はニコリと微笑んでくる。
な、なんだ…? 一瞬、シモン先輩の目が恐ろしく感じたような…?
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