第15話(1) エデルナンド侯爵領

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「待たせた」  少ししてエデルナンド侯爵がやって来た。侯爵夫人の巧みな会話術に私たちは楽しんでいたので、そんなに待った気がしない。  エデルナンド侯爵は若い見習い騎士たちを引き連れていた。その中には、なんとルーカス・ヨルクの顔もあった。  すぐに彼と目が合いルーカスはぎこちなく笑顔を浮かべた。なるほど、ルーカスの卒業後の就職先は決まったんだね。近衛騎士とは、大出世じゃないか。 「ナイトベル公爵家への護衛騎士志願者たちだ。皆、優秀で実力に申し分ない」  どうやらここに揃った者たちは、侯爵閣下に鍛え上げられた者たちのようで、顔付きは洗練された騎士そのもの。なんとも頼もしそうだ。 「ルーカス様!」  シャロンは喜びの声をあげていた。 「まあ、こちらでお会い出来るとは。お久しぶりです!」 「ああ、全くだ。シャロン嬢も元気そうで。久しぶりだな」  ルーカスも顔を綻ばせていた。…ルーカスって、私と話す時はあんなに緊張した様子なのに、シャロンには気を許しているよなぁ。 「お父様。私、ルーカス様に護衛して頂きたいです」  シャロンはさっそく護衛騎士を決めたようだ。 ふふ、早々に決めてしまってもいいのかな?
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