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第16話(1) お嬢様の結論2
ついに恐れていたことが起こってしまった。
「シャロン、おはよう…」
レオンが護衛騎士になって数日。収穫祭を目前とする時期となった。今日もレオンとソフィを連れて、ナイトベル公爵領の市街地へ出かけようと玄関ロビーに向かうと、不安そうな顔をしたお父様が待ち構えるように立っていた。
「おはようございます、お父様」
私はご機嫌に微笑みお父様に挨拶する。後ろではソフィとレオンも丁寧にお辞儀をしていた。
「…その…なんだ…今日も出かけるのだな?」
「? はい、お父様が護衛騎士を雇ってくださったおかげで、毎日自由に出かけられてとても楽しいです。そのためのレオンなのでしょう?」
「…う、うむ、そうなのだが…」
なんとも歯切れの悪い返答に私は首を傾げた。お父様はこう、何でも要点を纏めた無駄のない会話を好む方。このように口籠ることはとても珍しい。
「レオンはとても優秀な護衛だ、私も感心している。ただ、その…私の気のせいだとは思うのだがな?」
お父様の普段と違う様子に、私とソフィは耳打ちでこっそりと話し合う。
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