第16話(1) お嬢様の結論2

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「…ソフィ?」  私がキロリと目を鋭くすると、ソフィは悪びれることもなく肩をすくめてみせる。  まったく、ソフィったら。 「…例え私とレオンの邪魔をする者がいたとしても、ナイトベル公爵家の権力を使ってでも排除するつもりよ!」 「…過激な思考回路、そしてこの詰めの甘さ…お嬢様に悪役令嬢の片鱗が見えた気がします…そんなところももはや愛おしいですけれど」 「…おい、お前たち。一体何の話を……排除などと物騒な言葉が聞こえたのだが…」  あっ……お父様がいたことを忘れていたわ!  私たちは取り繕うように笑顔を貼り付けて、改めてお父様と向き合った。  お父様は不安そうにしながらも、意を決した表情でこちらを見据えている。 「シャロン、レオン…お前たち、まさか恋仲なのではないか? …と、ふと、心配になってな…はは、まさかな」  私たちは固まった。全然隠せていないじゃない。なんて、なんて答えればいいの…?  真っ白になる頭にふと、お兄様に注意を受けたことを思い出す。 『シャロン、レオンと過ごせて嬉しいのかもしれないけれど、ほどほどにね? 私が手助けしてあげられるのも、限りがあるんだから。上手に一緒に過ごすんだよ』  ルーカス様とリチャードを従えてお兄様はそれだけ仰ると、忙しそうにしながら収穫祭の準備に向かっていった。つい、一昨日の話である。  ……お兄様、助けて。お兄様の言う事を聞かなかったこの愚かな妹をどうかお助けください。
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