第16話(1) お嬢様の結論2

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 結論から言うと、私は今日一日謹慎を命じられた。 「もう! お父様の分からず屋!」  と、暫くは誰もいない部屋で憤っていたが、ソフィすらも私の部屋に立ち入り禁止となってしまい、寂しさから段々と気分が沈んでいった。 「……レオン…」  最終的には部屋の窓から外を眺めて、鼻をすする始末。まだ低かった太陽は現在真上にまで昇っている。本当ならば今頃、レオンとソフィと楽しく市街地を散策していたはずなのに。 「お父様ったら、ひどいわ…」  やることもないのでお父様への恨みつらみを呟くことにする。 「ただ好きなだけなのに…何故いけないの…」  …そうよ。ただ好きなだけなのに。貴族と平民というだけなのに。一体何がいけないと言うの? そもそも、その線引きって必要なの?  …自分の都合の良い考えを繰り広げていることには気付いていたがやめられない。 「私は、レオンだから好きになったの!」  好きになった人がたまたま平民だっただけ。もし、ソフィの前世の世界のように貴族階級なんかなくて、自由を謳歌できる国だったなら……なんだかこうして外出を我慢しているのにも段々と腹が立ってきた…! 「……家出しましょう!」  うん、それしかない!  止める人が誰もいないことをいいことに、私はそんなことを思ったのだった。
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