第16話(2) 公爵からの条件

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第16話(2) 公爵からの条件

 家出をしようと決めてから、私はこの後どう動こう? と思案した。  とりあえず、この部屋から出ないといけない。 「…どこへ行くんだ?」 「わあ!?」  誰にも気付かれないように、なるべく音を立てまいと慎重に部屋の扉を開いたのに、目の前には待ち構えるように仁王立ちしているルーカス様がいた。 「な、なぜここに?」 「…この度、シモン先輩にシャロン嬢がおかしな行動を取らないか見張るようにと指示を受けた」  お兄様、帰ってきていたのね。それで、私に見張りを……。 「…お、おかしな行動なんて、そんな…」 「先程『家出をしよう』と決意していたような声が聞こえたが?」 「ええっと、それはぁ…」  全部聞かれていたらしい。  部屋を出た瞬間に家出失敗…なんて、こんなに格好つかないことってあるの?
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