第16話(2) 公爵からの条件

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『レオン、お前たちはいつからそのような仲になった?』 『……想いを伝え合ったのは長期休暇に入る前です』  聞こえてくる声…お父様の威圧的な声と、レオンの緊張したような声。私はハラハラと内心落ち着かない。二人の会話は続く。 『…分からないな。何故そのような気持ちをシャロンに抱けた? 二人の身分が違いすぎる。シャロンは元々、王太子姫になるはずだった娘だ。平民のお前の手に余るとは思わなかったのか?』 『俺は…シェリーだから好きになったんです』 『なんだと?』 『好きになってしまった方が、たまたま高貴な方だっただけです』 『そのような勝手が通じるものか!』 『はい。だから俺が、シェリーの世界に行くしか彼女と一緒にいられないと理解しています!』  レオンも私と同じことを思っていてくれていたことに、私は感動してしまった。 『な…それは…お前が爵位を賜ると、そう言っているのか?』  お父様の威圧的な声に戸惑いが滲む。  平民が爵位を賜る。あまりの滑稽さに驚いたのか、それとも…レオンを見て何かを感じたのか。後者であって欲しいと願ってしまう。
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