第16話(2) 公爵からの条件

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『ナイトベル公爵閣下、俺は本気です。だからどうか、俺に猶予をください。シェリーを幸せに出来るよう、俺はなんでもします!』 『…なんでもだと?』  暫しの沈黙。お父様が今どんな表情をしているのか…とても不安で仕方がない。 『……そこまで言うのなら、なんでもやってみるがいい。どこまで本気なのか、見せて貰おう』 『公爵閣下…あ、ありがとうございます!』 『レオン! 喜ぶのはまだ早い。手始めに在学中に聖騎士(ぎょく)団の入隊候補試験に受かってみせなさい』  お父様が出した条件に、私は目を丸くする。  隣でお兄様とルーカス様もあまりにも難易度の高い条件に、息を呑んだ。  聖騎士玉団…エデルナンド侯爵が率いる王宮騎士団とはまた違う騎士団である。  同じ騎士団ではあるのだが…格が全く違う。聖騎士玉団とは、王陛下直属の騎士団であり、王宮騎士団を率いるエデルナンド侯爵もまた、聖騎士玉団の騎士なのだ。  つまり、『聖騎士』と言うこの国で10の数にも満たない誉れ高い称号を得た騎士になれと、お父様はレオンに言っている。  聖騎士になった騎士が、爵位を賜らない筈がない。 『私からの条件を呑むか? どうする? それとも、やはり怖気付いたのか?』  心なしか楽しそうなお父様の声色になんだか腹が立つわ…。 『ナイトベル公爵閣下…』  レオンが出した結論、それは…。
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