第16話(3) 公爵の本音

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「剣技大会で、レオンの技量は認めている。が、あの入隊候補試験はちょっと実力があるだけでは受からない。ふふ、どうなるか見ものだな…」  と、悪い顔をして笑う父上を見て、ルーカスは少し青ざめたようだった。 「しかし、父上がレオンに条件を与えるなんて意外でした。父上ならきっと、許すはずがないと」 「…まあ、な。だが、少し気が変わった」  父上は静かに執務机の方へと歩き、黒い革張りのチェアーにゆっくりと腰を下ろす。 「あの時……まだ王太子であったイーサン王子に自身の命を顧みずに…牙を剥いてシャロンを守ってくれたあの青年に、少なからず心を打たれたのだ」  珍しいな。息子とはいえ、他人に父上が素直に心情を語るなんて…。
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