第16話(3) 公爵の本音

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「…などと言うエピソードでも伝えておこうか」  ニヤリと笑う父上。私の隣で感動していたルーカスは「えっ?」と声を漏らしていた。  ……やはり、父上はどこまでいっても、あの四大公爵の一柱なのである。 「…どうせ、仮にレオンが入隊できれば、推薦者の父上にも聖騎士玉団に介入する機会があるとか…いや、そもそも推薦者に立候補する事で、建前ができ他の軍事有力貴族に圧をかける算段がついているとか、そんな所なのでしょう?」  ナイトベル公爵家はすでにこの国の経済を一部担い成長させるほどの影響力を持っている。財を築き、更なる確固たる地位を築くのであれば、次は軍事力…。  聖騎士玉団は軍事力を動かすならもってこいの餌場だ。なぜなら『聖騎士』そのものが大きな軍事力だからだ。 「さすが自慢の我が息子だ」  呆れる表情で私が小さく息を吐いてみせると、父上はチェアーを軋ませて深く座りゆっくりと長い足を組む。
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