第16話(3) 公爵の本音

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「…そういえば、エリックも聖騎士玉団の入隊を目指すようだよ」  私は思い出したようにルーカスに伝えた。シャロンに振られ、いい意味で吹っ切れたエリックはレオンを越える大物になってやるのだと言っていたっけ。 「そうなのですか?」 「うん。あの二人はどこまで行ってもライバルなんだねぇ」 「ははは、たしかに。しかし、シャロン嬢への昇華できない想いをそちら方面に向けてしまうのがエリックらしいですね」  私とルーカスの会話を聞いていた父上はなんとも機嫌良さそうに口を開く。 「エデルナンド侯爵の嫡男もシャロンに想いを寄せているのか?」 「あ、はい。どうやらシャロンの心はレオンが勝ち取ったのでエリックは振られたようですが」 「あの人気の高い未来の小侯爵を差し置いて平民が………あいつ…レオンは、末恐ろしいな…」  ついにあの父上も、レオンのうちに秘める何かを悟り恐れおののいたようだった。
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