第16.5話(2) デザイナー達の試練

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 さすが四大公爵の一柱ナイトベル公爵閣下直々の招集ということもあり、予約数年待ちのベテランデザイナーから最近名を馳せてきた新人デザイナーまで数人のデザイナーが本日中にこの公爵邸へと訪れた。 「レオン、とても素敵よ!」 「レオンくんったら、格好いいから何着ても似合うわねぇ」  と、傍観者に回った妹と母上は楽しそうに次々と着せ替えられていくレオンを眺めていた。  …母上はともかく、シャロン。君も当事者なのだから少しは働きなさい。と、内心思うが、鬼気迫る表情でレオンを見つめる父上を見ると、おいそれと口を出せないな…。 「レオンはどの服が良かった? レオンが良いと思うものを選んだほうがいいわ!」  シャロン! 父上を見なさい! 今の発言で表情が一段と険しくなっているから! 「えっ、と…そうだな。どれも肌触りが信じられないほど良くて着心地がいいのだけれど、俺は二つ前に着たものが一番しっくりきたかな。動きやすくて…」  可愛らしくはにかみながらレオンは言う。  二つ前か、少しゆったりしたデザインの…まあ、確かにね。私や父上と違って体格の良いレオンは細身のスマートなデザインだと少し窮屈そうだったもの。 「ふふ、じゃあ、それで。あとは、レオンのサイズに合わせて手直しを…」  にっこりと微笑み、決定を下そうとするシャロンだったが…。 「だめだ」  そこでついに、父上が口を開く。
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