第18話(2) 私のいる世界

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 時がゆっくりと進んでいくような感覚。レオンに見つめられると、まるで私は小動物のような気分になるの。  そっと唇に落とされたキス。始めは触れるかどうか、次第に深い接吻となる。  私とレオンはお互いの存在を確かめ合うように舌を絡ませた。私はレオンに抱きつくように彼の首に腕を巻きつけて、レオンは私の腰に腕を回す。  私とレオンの間に隙間なんて作りたくない。貴方とひとつに…なんて、これ以上はお父様に叱られるなんてものじゃないわね。 「……これ以上は止まらなくなりそうだから、おしまい」  甘い吐息を吐いて、微笑みながらも切なそうに顔を歪めるレオンが名残惜しそうに私から離れていく。 「あ…」  きっと私も、レオンと同じ顔してる。  物足りなさそうに細められた黄金の瞳は、まるで獲物を狙う野獣のような鋭さがあって、それでいて魅惑的だ。私を食べて、と捧げたくなるほどに私を虜にする貴方は、まるで捕食者のよう…。 「シェリー、早く元気になってね」  そうは言ってもね、レオン。私、貴方がいる限り、この恋の病が治ることはないと思うの。  …え? ちがう?  ああ、なんだ、風邪のことね。
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