第18話(3) 片想いの反撃

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「…〜〜〜っ」  私は恥ずかしさのあまり、声にならない叫び声を上げてしまう。レオンなんか、もう真っ赤な顔で目を泳がせている。 「はは…どうしたんだ二人とも。そんなに慌てて」  にこやかに笑い穏やかな声でそう言うエリック様だったが、よく見ると目が全く笑っていない。  こ、こわいっ! 「さ、さあ、お嬢様! お待ちかねの風邪限定食『たまご粥』ですよっ」  エリック様の背景にチラホラとブリザードが吹雪そうな気配を察知したソフィが空気を変えようと明るく努めて言った。 「わ、わぁ、楽しみだなぁ!」  私もソフィの作戦に乗っかる形で無邪気に笑ってみせる。  でも、楽しみにしていたのは本当。どんなに食欲が無くても、ソフィの『たまご粥』であれば不思議とお腹に入るのよね。絶妙な塩加減のおかげかしら? それとも卵の優しい味のおかげ? とにかく、とても美味しいの!  あの完璧素敵人間のお兄様でも、体調を崩した日は甘えてソフィの『たまご粥』をねだるほどなのよ。
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