第18話(3) 片想いの反撃

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 深い器によそわれた粥を見ると、ホカホカと温かさを主張する湯気が立ち込めている。  艶々と輝くライスたちを大きなスプーンでひとすくい。そのまま口に運び、熱さにはふはふと息を吐く。優しい味が口の中に広がっていった。 「美味しい…」 「ふふ、ご満足頂けたようで良かったです」  ソフィは嬉しそうにはにかんで、ペロリと完食してしまった空の器を下げにキッチンへと向かった。 「レオン、俺たちもそろそろ行かないと…」  ルーカス様がレオンに言う。 「あ、ルーカス先輩もビデリオン先生の授業を取っていたんですね」  ビデリオン先生…まだ若い新任の先生だがとても厳しいと聞いた。特に時間を大切にされている性格らしく、無駄な時間を過ごすことがお嫌いとか。一度でも遅刻すると、二度とその先生の授業を受けられないという噂。  レオンとルーカス様は椅子から腰をあげて学校へ戻る準備を始めた。 「…先輩、シェリーを宜しくお願いします」  出て行こうとしたレオンが振り返り、エリック様に何故か私のことをよろしく頼む。 「そんな釘を刺さなくても、病人に変なことなんてしない。お前じゃあるまいし」 「なっ、せ、先輩っ…!」 「ほら、行くぞレオン! 遅れたらヤバい!」  真っ赤な顔で何か反論しようとしたレオンの首根っこをルーカス様が捕まえて、引き摺るように部屋をあとにしていった二人。
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